会長挨拶秋山 伸一 第8回がん分子標的治療研究会を御世話させていただくことになりました鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻腫瘍学講座分子腫瘍学分野の秋山です。第8回研究会は、5月13日(木)、14日(金)の2日間、鹿児島市の市民文化ホールで開催されます。抄録締切りは、2004年2月6日を予定していますので、奮って御応募下さる様御願い申し上げます。研究会は、シンポジウム、特別講演、一般口演、ポスターセッションからなります。 癌細胞を直接攻撃するのではなく、腫瘍に酸素と栄養を供給する新生血管を攻撃し腫瘍を兵糧攻めにして治療する血管新生阻害薬の開発が盛んになってきました。多くの血管新生阻害剤が開発されていますが、Folkman らはこれらをDirect血管新生阻害剤とIndirect血管新生阻害剤に分けています。Direct阻害剤とは内皮細胞の増殖、移動を抑制する薬剤で、内皮細胞のインテグリン、VEGF、VEGFR、マイクロチューブルに作用するものなどがあります。Indirect阻害剤とは腫瘍に働きかけて腫瘍からの血管新生因子の放出を抑制したり血管新生阻害因子の放出を亢進するもので、Iressa、Herceptin、IFN-aなどがあり、これらはすでに臨床で用いられる抗癌剤で血管新生阻害作用も持っています。血管新生阻害剤ではありませんが腫瘍の既存の血管を壊すVascular targeting agent(VTA)も開発されています。しかしながら、臨床での使用が認可されたDirect血管新生阻害薬はまだありません。 一方、抗癌剤に対する耐性腫瘍の出現は癌の化学療法を行う上で大きな障害となっています。近年、多剤耐性の機構が精力的に調べられ、多くのことがわかってきました。なかでも、P-糖蛋白質(P-gp)とMRP1という膜輸送蛋白質が多剤耐性に関与していることがわかり、分子レベルでの機能の解析が行われています。 P-gpとMRP1は、ABCトランスポーターファミリーのメンバーですが、薬剤耐性に関与するABCトランスポーターとしては、このほかに MRP2〜5、BCRP、ABC2があります。多くの耐性克服物質が発見されていますが、臨床での使用が認可された耐性克服薬剤はいまだ現われていません。DNAマイクロアレイなどを駆使して、治療前に腫瘍の抗癌剤感受性を予測し適切な抗癌剤の投与に結び付けようという試みも行われています。また、薬剤感受性に影響を及ぼす遺伝子のポリモフィズムが注目を集めています。 これらの研究についてシンポジウムを組み、現状と問題点を明確にし将来を展望できればと考えています。 分子標的薬剤の開発に関する研究とともに、がんの予防や、早期診断なども、がんを治療するうえで重要な研究分野であり、これらの研究に関する演題も大いに歓迎します。 |
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