学術集会・セミナー

理事長あいさつ

日本がん分子標的治療学会(JAMTTC)の継続・発展を目指して

理事長 曽根三郎
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部
呼吸器・膠原病内科学分野、腫瘍内科学分野

平成20年11月1日付けにて、がん分子標的治療研究会(JAMTTC)としての12年間の実績を礎石に、さらなる発展を目指して「日本がん分子標的治療学会」と名称変更されました。設立当初からリーダーシップを発揮してこられた鶴尾 隆博士が平成20年11月1日付けにて初代理事長に就任されましたが、昨年12月16日に、がんのために志半ばでご逝去されたことは非常に残念であり、本学会にとっても大きな損失で、「余人をもって代え難し」の思いを致しております。

このような状況下にありますが、鶴尾先生のご遺志である「本学会の継続発展」を最優先課題と考えますと、学会としての基盤を構築するためにも学会機能を一時的にも休止させることは許されない状況にあります。この度、総務担当副理事長の曽根が、先日の理事会(6月24日)にて理事長に推挙されましたのを受けて、微力でありますが、本学会の事業活動を担当させて頂くことになりました。会員の皆様方にはご支援並びにご協力の程よろしくお願い申し上げます。

JAMTTCが学会として大きく飛躍していくには、鶴尾前理事長が取り組んで来られた産官学の連携、トランスレーショナルリサーチの推進、国際的なグローバリゼーションの推進を基本的な方針として継承していくことは言うまでもありません。産学連携により、日本での新規がん分子標的薬の開発をいかに効率的に進めるか? がん分子標的薬の創薬から育薬へ、また、適正使用のための標準化も視野に入れた臨床研究の取り組みなどが、基礎、臨床ならびに産学の会員が集うJAMTTCに求められております。また、JAMTTCにふさわしい最新のトピックスを取り上げ、ワークショップとして学術集会とは別個に企画し開催する事業も積極的に展開する予定です。

最近、世界的に問題となっている臨床研究に係る利益相反(conflict of Interest,略してCOI)問題を本学会においても正面から取り組み、適正に産学連携を推進するためは、会員等による本学会での発表が公明性、透明性を担保に情報交換され、社会に向けて発信されていく仕組み作りが必要と思われます。JAMTTCは2学会(日本癌治療学会・日本臨床腫瘍学会)合同の「がん臨床研究の利益相反に関する指針」を共通指針として受け入れ、COIマネージメントのための細則は独自に策定しました。このことにより、産学の連携をより強化し、がん分子標的治療の創薬から育薬へ向けての学会活動がより活発に推進できるものと期待しております。

本学会の運営を財務的にも事務的にも効率的に行うため、三つの委員会(総務委員会、財務委員会、学術委員会)が設置されて対応しています。また、設立当初からお世話頂いている癌研究会癌化学療法センターに本学会事務局を設置し、同センターのスタッフの方々にボランティアに等しい形でご尽力頂いております。同時に、財務委員会のご協力を仰ぎながら、本学会の基本姿勢として会費並びに参加費負担を出来るだけ抑え、若手会員が参加しやすい学会を目指していきます。

今回、第13回学術集会の会長として、平成21年6月24日-26日に徳島で開催しましたところ。550名を超える参加者がありました。故鶴尾 隆博士の多大なる貢献と功績を称えると共に故人を偲ぶ追悼シンポジウムが行われました。鶴尾博士が手塩にかけて育ててこられた本学会が今後とも次世代に向かって大きく飛躍するように微力ですが、努力したいと決意いたしております。会員の先生方にはご協力並びにご支援の程よろしくお願い申し上げます。

2009年1月

このページの先頭へ